商業登記簿謄本の取得方法とは?
商業登記簿謄本は、会社等の法人に関する情報が記載された証明書で、会社経営や事業取引のさまざまな手続において必要となる書類です。
誰でも取得することができるため、自社の情報のみならず、取引先や今後取引を考えている企業の情報も簡単に確認することができます。
そのため、事業を行う上で情報収集の手軽な方法ともいえるのです。
また、自社が他社との取引をスタートする際にも提出を求められるなど、必要になる場面の多い商業登記簿謄本ですが、この記事では、いざという時、スムーズに無駄なく商業登記簿謄本を取得する方法について解説します。
商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書とは
商業登記簿本や会社の登記事項証明書とは、次のような会社に関する情報が記載されている書類で、会社の存在や記載事項を証明する役割があります。
【商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書で確認できる主な情報】
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 資本金
- 会社設立日
- 発行可能株式数(株式会社のみ)
- 役員に関する事項
商業登記簿謄本と会社の登記事項証明書に違いはあるのか?
商業登記簿謄本と会社の登記事項証明書は、どちらも記載されている情報が同じであるため、証明する内容は同じです。
同じ内容の証明書類であるのにも関わらず、呼称に違いがあるのは、登記簿が紙で管理されているか、コンピューター(電子データ)で管理されているかどうかの違いです。
商業登記簿謄本は、登記簿がコンピューター管理に移行する以前の紙で管理していた時代の商業登記簿の写しのことを指します。
一方で、会社の登記事項証明書は、商業登記簿がコンピューター管理に移行した以降の呼び名となります。
今でも「会社の登記簿謄本を提出してください。」などと言われることが良くありますが、これは昔の呼び方の名残りですので、こうした場合でも、「会社の登記簿謄本」というのは「会社の登記事項証明書」のことを指して言っていることがほとんどです。
会社の登記事項証明書の種類
会社の登記事項証明書は、その名のとおり、会社が登記した事項を記載している証明書を総称した言葉で、証明書に記載されている情報の種類ごとに、次の4つの種類があります。
- 現在事項証明書
- 履歴事項証明書
- 閉鎖事項証明書
- 代表者事項証明書
なお、「代表者事項証明書」以外は、全部事項証明書(いわゆる「謄本」)と一部事項証明書(いわゆる「抄本」)の2種類をそれぞれ選ぶことができます。
「一部事項証明書(抄本)」は、一部の情報だけを抜き出したもので「全部事項証明書(謄本)」はすべての情報が記載されている書類のことです。
現在事項証明書とは
現在事項証明書とは、現時点で有効な登記事項を載せた書類になります。
過去に抹消や変更等された情報は、基本的に記載されていません。
ただし、社名(商号)や所在地(本店)については、直前に抹消・変更等された情報の履歴が記載されています。
履歴事項証明書とは
履歴事項証明書は、現時点で有効な登記事項の記載以外に、請求した日から3年前の日の属する年の1月1日以降に抹消・変更等された情報の履歴も記載されています。
履歴事項証明書には、現在事項証明書に記載される情報のすべてが記載されるので、特別な事情がなければ、履歴事項証明書を提出した方が便利です。
閉鎖事項証明書とは
閉鎖事項証明書は、以前に抹消・変更等された情報が記載されている書類のことです。
履歴事項証明書に記載されていない昔の情報や、吸収合併などにより解散や消滅した会社の情報が記載されています。
代表者事項証明書とは
代表者事項証明書は、会社の代表者の情報を記載した書類のことです。
代表者の氏名、住所、社名(商号)、本店所在地、法人番号などが記載されています。
代表者の資格証明を求められた場合などに利用する書類です。
なお、上述の「現在事項証明書」や「履歴事項証明書」でも、代表者に関する記載があれば、代表者の資格証明として利用可能です。
商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書の取得方法
商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書を取得するには、次の3つの方法があります。
- 法務局の窓口へ行って申請する
- 郵送で申請する
- オンラインで申請する
それぞれ確認していきましょう。
法務局の窓口へ行って申請する
法務局の窓口へ行って商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書の発行を申請する場合には、「登記事項証明書交付申請書」に必要事項を記入して、手数料分の収入印紙を添付のうえ窓口へ提出します。
また、法務局の窓口にある証明書発行請求機を自身で操作して、発行の申請をすることもできます。
なお、法務局の開庁時間は、基本的に平日9時から17時までとなっているので、窓口で申請を行う場合には、開庁時間内に行くようにしましょう。
郵送で申請する
郵送で商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書の発行を申請する場合は、必要事項を記入し、手数料分の収入印紙を添付した「登記事項証明書交付申請書」を法務局宛に郵送します。
郵送で商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書を取り寄せる場合には、返信用封筒(切手貼付済みのものやレターパックなど)を、同封することを忘れないようにしてください。
オンラインで申請する
商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書は、オンラインでも発行申請することができます。
具体的には、法務局の「登記・供託オンライン申請システム(登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと (moj.go.jp))」を利用して行います。
なお、発行された証明書の受け取り方法は、①希望する法務局の窓口で受け取る方法と、②郵送での受け取りを選択でき、②を選んだ場合でも、上述の郵送申請のときとは異なり、返信用封筒の提出は不要となっています。
また、オンライン申請を行う場合の注意点として、システムの利用時間があります。
システムの利用時間は、平日8時半から21時までとなっていて、休日などは利用できないので注意しましょう。
商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書を取得する際の手数料
商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書の発行には、手数料がかかります。
手数料の金額は基本的には1通600円となっていますが、取得方法によって多少の違いがありますので、注意が必要です。
- 法務局の窓口:50枚まで1通600円
- 郵送:50枚まで1通600円
- オンライン(法務局の窓口で受け取る場合):50枚まで1通480円
- オンライン(郵送で受け取る場合):50枚まで1通500円
商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書が必要になるとき
商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書の提出を求められるのは、各種の契約を行うときや登記申請の手続を行うときなどがあります。
具体的には以下の場合などに必要となります。
- 金融機関で会社の口座開設、融資の申請をするとき
- 会社名義で各種の契約を行うとき
- 取引先など他社の調査をするとき
- 会社の許認可の手続をするとき
- 会社の登記内容を変更するとき
まとめ
今回は、商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書とはどのような書類なのか、また取得する場合の方法について解説していきました。
会社を経営する場合、商業登記簿謄本・会社の登記事項証明書が必要になる場面が多くあります。
そうしたときに備えて、スムーズに取得できるように取得方法を確認しておくことが大切です。
なお、会社の登記内容を変更する場合、複雑な法律上の手続を行う必要があったり、作成しないといけない書類が多かったりすることがあります。自力ですぐに対応が出来ないと感じたときには、司法書士に依頼することも検討してみると良いでしょう。