配偶者の居住権とは
配偶者居住権とは、被相続人名義の住居に配偶者が相続開始(被相続人が死亡した日)に住んでいた場合に終身、もしくはある一定の期間無償で住み続けられる権利のことをいいます。この権利は、2019年1月から順次施行されている相続法改正によって認められることになりました。
2018年に国会で承認されたこの相続法改正は、1980年以来久しぶりの大改正となりました。配偶者居住権の創設もその一つです。なお、配偶者居住権に関する法律の施行日は、2020年4月1日となっています。
冒頭では、配偶者居住権がどういったものなのか?をお伝えしましたが、具体的にどこが今の制度と違うのかを説明させていただきます。
実は今の制度だと、被相続人名義の住居を配偶者以外の相続人が相続した場合、住居を相続した相続人との関係が悪かったり、その相続人が住居を売却してしまったり等、配偶者が住居に住み続けることが出来ないトラブルが起きていました。
しかし、残された配偶者を保護するために制定されたこの制度によって、建物の所有権を相続しなくても配偶者居住権を持つことで、配偶者は住居に住み続けることができるようになります。
また、今の制度だと、配偶者が住居の所有権を相続したとしても、住居の評価額が高く法定相続分を上回っているがために、ほかの相続人に差額の支払いを要求されてしまうケースが起きていました。そして、差額の支払いを要求されたけれども、貯蓄があまりなければ、最悪の場合、配偶者はせっかく相続した家を売らなくてはなりませんでした。
しかし、住居の所有権に比べて評価額を低く抑えることのできる配偶者居住権というものを創設し、これを配偶者が取得することによって、配偶者が住居を確保しつつ預貯金などの財産も相続しやすくなりました。
しかしながら、配偶者居住権は自然に付与される権利ではないことに注意が必要です。配偶者居住権は、被相続人の遺言書に記載されているか、遺産分割協議で認められることが条件だからです。
なお、似た制度に短期配偶者居住権というものもあります。こちらは一定の条件のもと、最低6か月間は住居に住み続けることが出来る権利のことをいいます。
これらの制度を利用したい、もっと深く知りたいという方は一度専門家に相談してみると良いかもしれません。
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