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相続登記の義務化|罰則や過去の相続分について

所有者が分からない土地をなくすため、不動産に関する登記制度が見直されています。202441日からは相続登記が義務になるのですが、それ以前に取得した建物や土地に関しても適用されるため、過去に相続をした方も今回の法改正には留意する必要があります。

 

当記事で、どのように制度が変わったのか、そして建物や土地を取得した方が何をしないといけないのかを解説します。

法改正のポイント①相続登記申請が義務になる

「相続登記」とは、相続を理由に得た不動産に関しての登記名義変更手続を指しています。

 

登記を行うことで所有者が誰なのかが明らかとなり、取引を行うときの相手方が物件情報を調べるときや、所有者自らが所有権を示すときなどに登記情報は役立ちます。

 

ただ、相続で不動産を取得しても、登記を行わず放置されている例がよくあります。今後はこのような事態が起こらないよう、登記が義務となるのです。

 

登記申請は「相続で所有権を得たことを知ってから3年以内」にしなければなりません。

 

正当な理由なく申請をしなかった方には過料と呼ばれるペナルティも予定されています。

義務化の目的

登記が義務になるのは「所有者が分からない土地の発生を防ぐ」ことが目的です。

 

登記を行わないと、登記簿を確認しても現在の持ち主が分からないのです。こうした土地は整備もされず放置されていることが多いため、周辺環境が悪化してしまったり、家屋が倒壊してしまったり、といった持ち主本人の資産価値を減少させてしまうリスクや近隣の方々の資産価値をも減少させてしまうリスクが高くなってきます。さらには民間取引が阻害され、震災時の仮設住宅建設などの公共事業進められなくなるといった社会全体に迷惑をかけてしまうリスクも生じます。

 

高齢者が増える現代において、所有者が不明な土地の問題はより深刻化していくと見られており、その流れを防ぐために今回法改正でルールが変更されたのです。

登記が必要な不動産の範囲

相続を契機に取得した不動産に関して広く登記義務が課されます。

 

そこで、相続に伴い自動的に取得した場合や、遺産分割協議を経て取得することが決まった場合も同様に登記を行わなければなりません。

 

亡くなった方が作成した遺言書の効力(遺贈)として取得した場合も同じです。遺贈を受ける人物は相続人に限らないため、義務が課される範囲は友人・知人などの第三者にも及ぶということです。

 

3年以内の手続が必要ですが、何らかの事情によって遺産分割をなかなか進められないときは、今回の法改正で新設された「相続人申告登記」の仕組みを使うと良いです。簡易な手続により、この義務を果たしたものとみなしてもらうことが可能です。

 

なお、登記が義務になるのは改正法施行後の相続に限りません。「過去に相続した不動産に関しても義務化の対象」です。改正法は2024年に施行されますが、その施行日より前に所有者となった土地に関しても対応が必要ということです。
ただし、過去の分については「3年間」という期限がすでに過ぎている・すぐに期限を迎えてしまう、ということも考えられます。そこで一律に2027331日までに登記を行えば良いという扱いになっています。

催告後の登記でもペナルティは避けられる

義務を果たさないことで、ペナルティとして「最大10万円の過料」を科されることがあります。

 

ただ、期限内に履行をしないことによって即座に過料が確定するわけではありません。一般的には、次のような流れを経て過料が科されます。

 

1.  登記官が義務違反を把握

2. 登記官が違反者に催告をする

3. 催告書に記載の期間中に対応をしないとき、登記官は裁判所に対して違反を通知する

4. 裁判所が過料を科すべきかどうかを判断する

 

よって、義務違反があることを認識しないまま突然過料を科されるのではなく、その前段階には登記官(法務局)からの催告があります。催告書を受け取ってから、そこに記載されている期間中に対応すれば、過料は回避することができるのです。

法改正のポイント②相続人申告登記制度の創設

登記が義務になったことに伴い、所有者の手続負担を軽減するための「相続人申告登記制度」も創設されました。

 

これは、登記されている所有者に関して相続が開始されたこと、および申請人自身が相続人だということを申し出る制度のことです。平たくいうと「登記義務を果たすための簡易な手段」です。

利用シーン

同制度を利用した申請では、申し出をした方の氏名や住所などが記録されます。しかし本来の登記制度が求めている権利の取得、具体的な持分に関しては記録されません。そこで権利関係を公示し、第三者に対する対抗要件を備えることはできません。

 

ただ、とりあえず申請をしておけば、いったん義務を履行したものとしてみなしてもらえます。

 

そこで主な利用シーンとしては「期限が迫っていて、早く対応をしないといけないけど、手続が間に合わない」というシチュエーションが考えられます。遺産分割協議がなかなか進まないときでも、この申告制度によって義務を履行できます。

※単独での申請が可能であるが、申請義務を履行したことになるのはその申請人のみ。

手続方法

登記をするには、相続人や各々の取得分を確定させなくてはなりません。そのためには亡くなった方の戸籍謄本など多数の書類を集める必要があり、申請に対する手続的な負担はとても大きいです。

 

一方、相続人申告登記であれば「所有者についての相続開始の事実」「自分が相続人である事実」を示すだけで良いです。相続人であることがわかる戸籍謄本を出すだけで良いため必要書類を集める負担がかなり軽減されます。

 

また、共同相続人が多数いるときでも1人で申出をすることができます。

相続登記について困ったときの相談先

今後、新たに作られたルールについて困る場面に出会うかもしれません。このようなときは法務局や司法書士などを頼ると良いでしょう。

 

基本的な手続内容、制度の基礎知識については法務局でも教えてもらえます。ただし個別具体的なアドバイスを求める場合は司法書士に相談する必要があります。

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  • 大阪府豊中市出身
  • 大阪府池田高校卒
  • 大阪市立大学法学部卒平成21年、吉村司法書士事務所(中央区)に入社し、金融機関、税理士、不動産事業者向けサービスなど幅広い司法書士業務を数多く担当。
  • 平成31年1月、これまでに得た経験とノウハウを生かし、へいわ法務司法書士事務所を立ち上げ、各種の取扱業務(相続手続、遺言書作成、生前対策、成年後見業務、不動産登記、動産債権譲渡登記、商業法人登記など)を通じて、依頼者が紛争に巻き込まれる前に問題を防ぐ「予防法務」に取り組んでいる。
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